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[コロナ禍の8・6] 密集避け平和を発信 入場規制範囲 例年の3倍 

 広島市が概要を示した今年の平和記念式典は、昨年と同様に新型コロナウイルスの感染防止策を徹底しつつ、平和発信に尽力する。会場となる中区の平和記念公園では入場規制の範囲をコロナ禍前と比べて広げ、原爆慰霊碑に向かう一方通行の慰霊ルートを設ける。

 午前5~9時に入場をできなくする範囲は、東西は元安川と本川に挟まれた中州の大部分、南北は平和大通りの北側付近から元安橋と本川橋を結ぶ園内の道路まで。例年の約3倍の広さとなる。広範囲の規制で式典を見られないようにして、人の密集を避ける。

 「式典が始まるまでの早朝に祈りたい」との声を受け、午前5~7時に慰霊のためのルートを設ける。昨年と同様に慰霊碑前を通り抜ける一方通行のL字形で、人がすれ違わないようにする。公園内にある広島国際会議場での式典中継と公園内へのモニター14台の設置は今年も中止する。

 市民には来場自粛を呼び掛ける。市内のホテルや旅館の宿泊業者、旅行業者などには、8月6日前後の予約を受ける際、「式典には出られない」と客に説明するよう依頼した。今後、規制を説明するポスターを観光案内所などに張り出す。

 参列者を絞る一方、式典の内容はほぼ例年通りとした。市は「平和のメッセージを発信する式典の目的を最大限維持するため」と説明している。参列者向けの4台のモニターでは、広島訪問を断念したグテレス国連事務総長のビデオメッセージを流す。式典の様子は市ホームページ(HP)で配信する。(新山創)

(2021年7月12日朝刊掲載)

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