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戦争・原爆 向き合い続ける 体験記や講演録を冊子に 広島牛田教会・あやめ幼稚園

 広島市東区の日本キリスト教団広島牛田教会と、礼拝堂に隣接するあやめ幼稚園が、戦争・被爆証言集「平和をつくりだす―被爆・敗戦75周年を覚えて―」を発行した。教会員たちの被爆体験や、同園が取り組む平和教育を紹介する。

 被爆者と戦地に赴いた人を合わせ、これまでに集めた故人を含め計26人の体験記や講演録を掲載。13歳で入市被爆した女性は、太田川に大量の遺体が流れていた光景に「祖国は正しく、悪いのは他の者であるという独善性が戦争を招く」と振り返る。

 旧満州(中国東北部)から引き揚げた女性は、道中襲われないよう男性を装って頭を丸めたことや、銃で撃たれそうになったことをつづる。敗戦後に軍人から手投げ弾を渡され「軍人の妻として立派な最後を遂げるよう命じられた」。壮絶な体験を踏まえ「平和のすばらしさを知ってほしい」と伝える。

 冊子には同園が約40年前から記録する平和学習の活動報告もまとめた。大型紙芝居づくりや慰霊碑巡り、被爆証言を聞く園児の様子を写真付きで掲載。平和学習で使う絵本教材など約50冊も紹介している。

 同教会は復興期の1948年、被爆者らで創立。西嶋佳弘牧師・園長(63)は「戦争や原爆は向き合い続けなければならない課題。幼児期の平和教育の参考にも読んでほしい」と話す。B5判97ページ。同教会☎082(222)7727。(湯浅梨奈)

(2021年7月13日朝刊掲載)

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