核廃絶 若者も考えて 父の被爆体験を映画化 美甘さんに聞く
21年7月13日
昨夏に続き公開
広島市東区出身の被爆2世、美甘章子(みかも・あきこ)さん(59)=米カリフォルニア州サンディエゴ=が父・進示さんの過酷な被爆体験を基に制作したドキュメンタリー映画「8時15分 ヒロシマ 父から娘へ」(51分)が、8月6日から八丁座(中区)で上映される。昨年夏に続く公開だ。テレビ会議システムを通じて作品への思いを聞いた。(新山京子)
―昨年8月に広島で先行上映した時の反響は。
幅広い世代が足を運んでくれた。被爆75年の節目の公開に大きな意義を感じた。大やけどを負って生死をさまよう父に、私の祖父福一が「生き延びろ」と訴えかける言葉に涙が止まらなかった人もいたようだ。
―米国ではどうでしたか。
新型コロナウイルスの感染拡大前に、大学や地域で上映会を開いた。きのこ雲の下で人々に何が起きていたのか知らない人はまだ多い。オンライン開催だったナッシュビル映画祭2020では観客賞に選ばれた。審査員から「大切な史実を教えてくれた」などと評価され、手応えを感じた。
―進示さんの姿から何を感じてもらいたいですか。
父は映画が昨年完成した際、体調が悪く残念ながら見ることはかなわず、10月に94歳で亡くなった。その数年前まで、壮絶な体験から学び得た、人間の強さや他人への感謝の心を伝えようと証言活動に励んでいた。世代を超えて平和のメッセージを世界へ発信していこう、という意思が映画から伝わってくると思う。
―今月31日から東京や大阪、愛知など全国での上映も始まります。
戦争を知らない若い世代に見てもらい、父の体験やその後の生き方を通して世界の核の現状にも目を向け、廃絶のために何ができるのか考えてほしい。
(2021年7月13日朝刊掲載)