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核兵器のない世界/安全で活力ある都市/平和文化の振興 平和首長会議が新指針 市民の軍縮教育にも力

 広島市の松井一実市長は13日、自身が会長を務める「平和首長会議」の新たな指針と行動計画を発表した。目標として「核兵器のない世界」「安全で活力のある都市」の実現を掲げ、達成に向けて市民一人一人が平和について考え行動する「平和文化」の振興を位置付けた。市民の意識変容を通じて核兵器保有国の為政者に政策転換を迫り、核兵器廃絶と平和構築につなげるとのシナリオを描く。(小林可奈)

 新指針の名称は「PXビジョン」(持続可能な世界に向けた平和的な変革のためのビジョン)。2020年までの核兵器廃絶を掲げた「2020ビジョン」の後継だが、廃絶の目標年限は盛り込まなかった。記者会見した松井市長は「これまでの成果や結果を踏まえ、最終目標である廃絶に向けた取り組みを確実に進展させるビジョンに仕上げた」と強調した。

 目標のうち「平和文化の振興」は、核なき世界と活力ある都市の実現を下支えする最重要の取り組みと位置付けた。「市民に身近な首長でつくる会議が今後、果たしていくべき最も重要な役割だ」と明記した。

 併せてまとめた行動計画(21~25年)では、三つの目標を実現するための施策を並べた。広島市が今年11月から設ける「平和文化月間」を広げて平和意識を醸成するほか、平和・軍縮教育に力を入れる。

 今年1月に発効した核兵器禁止条約では、批准国を増やすための署名活動をするほか、核保有国とその同盟国の加盟都市は自国政府に締約国会議へのオブザーバー参加を求める。国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)の達成へ、テロや貧困、環境破壊など地域課題の解決を図る。

 平和首長会議には今月1日時点で、165カ国・地域の8037都市が加盟している。新指針と行動計画は7日夜、被爆地の広島、長崎の両市など18の役員都市の首長たちがオンライン理事会を開いて決めた。

(2021年7月14日朝刊掲載)

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