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首相「訪問問題ない」 平和発信には踏み込まず

 菅義偉首相は16日、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長による被爆地広島訪問について「飛行機は一般の方と十分に席を離し、それ以外は専用車両を使用するなど行動管理をしっかり行うと承知している」とし、新型コロナウイルスの緊急事態宣言下にある東京からの移動に問題はないとの認識を示した。8日の記者会見で指名されなかった中国新聞の質問に書面で答えた。

 首相側から回答があったのはバッハ氏が広島到着後の16日午後。感染防止策に限った素っ気ない内容で、訪問の狙いとされるスポーツを通じた平和発信への期待には踏み込まなかった。

 首相は8日の会見で「東京を起点とする感染拡大を起こすことは絶対に避けなければならない」と強調していた。バッハ氏らが随行員を連れて移動するリスクに対しては「IOCと大会組織委員会が定めたプレーブック(規則集)に基づく感染対策が求められている」と一般論に終始。IOC側へどのような注文を付けたかは明かさなかった。

 8月の広島、長崎の「原爆の日」の式典への参列について首相は「日程が許す限り参加したい」とした。参列すれば昨年9月の就任後初めて。(下久保聖司)

(2021年7月17日朝刊掲載)

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