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福山空襲体験語り継ごう 戦後68年で老人クラブ連 10日初開催

 終戦直前の福山空襲を目の当たりにしたお年寄りが10日、広島県福山市霞町のまなびの館ローズコムで体験を語る会を開く。悲惨な光景を口にできずにきた人もいるが「若い人に伝えたい」と初めて企画した。一緒に証言する人も募っている。市老人クラブ連合会主催。(久保友美恵)

 空襲被害が甚大だった市中心部の南小学区の4、5人が話す。

 きっかけは同連合会の広保登副会長(79)=御門町=が、地元のお年寄りと思い出話をする中で「体が弱くなってきた。戦争のことをどこかで話したい」「孫に伝えようと思っても焼夷(しょうい)弾が直撃し血だらけになった人の姿が目に浮かぶと口が動かなくなる」などと聞いたことだった。

 戦後68年。「もう覚えてない」という人が、他人の話を聞く中で記憶を呼び戻すケースもあったという。そこで「語り合い、伝える場をつくろう」と発案した。

 広保副会長も空襲翌日、当時住んでいた新涯町から、中心部に親戚を捜しに行った際、路上の遺体や焼け崩れる民家を見たという。

 「ちゃんと語れなくてもいい。一言だけ伝えたい人もぜひ来てほしい」と話している。午後6~8時。参加無料。同連合会Tel084(924)0186。

福山空襲
 1945年8月8日午後10時25分ごろ、米軍B29爆撃機が91機飛来。約1時間にわたり、焼夷(しょうい)弾と集束爆弾を落とし、市街地の約8割、約314ヘクタールを焼いた。市によると、被害は犠牲者354人、焼失家屋1万179戸に上った。

(2013年8月1日朝刊掲載)

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