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被爆2世の健康記録簿 4県「発行せず」

 被爆2世の健康診断の結果などを記す「被爆二世健康記録簿」について、全国の都道府県のうち鳥取県など4県が「発行しない」としていることが全国被爆二世団体連絡協議会(二世協、広島市東区)の調査で分かった。国は昨年、広島、長崎両市と47都道府県に記録簿のひな型を示していた。

 二世協は5月1日にアンケートを47都道府県と広島、長崎両市に送り、6月18日までに回収した。「発行しない」と答えたのは鳥取、青森、秋田、福島の4県。鳥取県福祉保健課は「2世対象の健康診断の受診者は毎年約5人で発行の要望もない。声が上がれば検討したい」としている。

 「発行する」「既にある被爆二世手帳などを利用する」としたのは広島、長崎両市に加え、鳥取を除く中国4県など20都道府県。残る23府県は「検討中」だった。

 二世協は長年、被爆2世に被爆者援護法の適用を広げるよう訴えてきた。父親が広島で被爆した二世協の寺中正樹副会長(59)=山口市=は「記録簿の発行は2世の自覚を促し、行政が存在を把握しやすくなる」とした上で「国が法的枠組みの中で2世の援護をしないため、地域格差が広がっている」と指摘している。(山下美波)

(2021年7月17日朝刊掲載)

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