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被爆体験の詩 朗読を動画に 広島の演劇集団 来月4日公開 ドームや供養塔前で撮影

 広島市を拠点に活動する市民団体「演劇集団ふらっと」が18日、中区の平和記念公園で被爆体験の詩を朗読する映像作りに取り組んだ。新型コロナウイルスの感染拡大で市内を訪れる観光客が減る中、原爆の悲惨さをオンラインで伝えようと企画。作品を仕上げ、8月4日から動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開する。(中川雅晴)

 原爆慰霊碑の近くに立ったみどり坂小6年横山義弘さん(12)=安芸区=が朗読したのは、2歳で被爆した男の子が小学4年の時に書いた詩だ。「ピカドンでぼくのあたまははげだ」「大きくなってみんなが『つる』とか『はげ』とかよんだ」。差別に苦しむ男の子の胸の痛みを静かな声で伝えた。

 撮影には、横山さんを含めて劇団メンバーら6人が参加。原爆供養塔や原爆の子の像の前など計10カ所でカメラを回した。原爆ドームの対岸では、原子爆弾の写真を実物大の長さ3メートル、直径0・7メートルに引き伸ばした横断幕を広げて大きさを解説。本川沿いでは8月6日朝の広島の様子を説明する映像も撮った。

 ふらっとは2014年に結成し、毎年原爆の日を前に被爆体験をテーマにした朗読会を開いている。コロナの感染が広がった昨年は、ウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」で開催。今年は映像作品の制作に挑んだ。

 映像は約20分に編集する。副代表の竹峰幸美さん(34)=南区=は「コロナの影響で人の移動が制限され、ヒロシマを身近に感じにくくなっている。小学生にも分かりやすい作品にしたい」と意気込む。

(2021年7月19日朝刊掲載)

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