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被災地復興を映画で発信 井口高ALT・エベールさん撮影大詰め 広島

 東日本大震災からの復興を追う映画を作っている井口高(広島市西区)の外国人指導助手(ALT)エステル・エベールさん(28)=カナダ出身=の作業が、大詰めを迎えている。18日、最後の撮影のために被災地に向かう。作品は国際映画祭に出品し、復興の歩みを世界の人々に伝えるつもりだ。

 舞台は宮城県石巻市北東部の雄勝町船越。津波で約100隻あった漁船のほとんどが流された。漁を再開した漁師や、仮設住宅で協力して暮らす住民の姿などを、60~70分のドキュメンタリー映画に仕上げる計画でいる。

 カナダの大学院でドキュメンタリーメディア制作を学んだ経験のあるエベールさんは、震災4カ月後の2011年7月にボランティアで同市を訪れ、映画制作を思い立った。同年10月に作業を開始。12年7月末までのALT契約を1年延長し、連休などを利用して約15回現地に入った。撮りためた映像は120時間を超える。

 最後の撮影は8月末まで滞在。漁師と住民に震災への思い、いまの生活環境などをインタビューする。9月初旬にカナダに帰国し、字幕などを加えて12月に完成させる考えだ。

 エベールさんは「災害の負の側面だけでなく、人々の希望や結束に触れた。世界の人々が復興の過程を振り返ることができる映画にしたい」と話している。(神下慶吾)

(2013年8月1日朝刊掲載)

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