×

ニュース

手縫いで刻む平和の校歌 広島市立商高生 創立100年記念タペストリー

「歌詞の内容考える機会に」

 広島市立広島商業高(東区)の創立100年を記念し、3年生240人が校歌の歌詞をあしらった手縫いのタペストリーを作った。同校によると、76年前の原爆投下により、建物疎開作業に動員された生徒194人たちを含め、計約250人が犠牲になった。戦後、平和への願いを込めて作られた校歌の歌詞を今の生徒一人一人が縫い込み、あらためて胸に刻んだ。(江頭香暖)

 タペストリーは紺地の縦約1・5メートル、横約1・8メートル。生徒は「ひとつ心に世界の友と その平和 永久に契らん」などの歌詞を1文字ずつ白い糸で縫い、赤い縁には校花であるハナミズキの花びらを配した。1人当たり8センチ四方を担当し、最後にミシンなどでつないで完成させた。

 同校は1921年4月、市商業学校として現在の中区南竹屋町に創立し、26年に西区南観音町に移転。44年3月、市立造船工業学校と改称した。原爆投下時、旧材木町(現中区)で建物疎開作業中だった生徒194人と教員5人の全員を含め、計約250人が犠牲になった。爆心地から約2キロ離れた校舎も全焼した。65年、東区牛田新町の現在地に移った。

 64年にできた校歌の歌詞には、学校再建の喜びと平和への願いが込められている。家庭科の山下佳織教諭(49)が今年2月、タペストリー作りを提案。生徒が約3カ月かけて仕上げた。

 今月3日、同校であった創立記念行事で全校生徒に披露された。生徒会長の3年矢野メリッサ愛由美さん(18)は「校歌の内容を深く考えるきっかけになった」と話していた。同校はタペストリーを校内に飾る。

(2021年7月20日朝刊掲載)

年別アーカイブ