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核廃絶への新指針論議 平和首長会議 平和文化の振興など

 核兵器廃絶や恒久平和を目指す世界約8千都市の連帯組織「平和首長会議」は7日夜、オンラインで理事会を開いた。会長の松井一実・広島市長や副会長の田上富久・長崎市長たちが出席。2020年までの核兵器廃絶を掲げた行動指針「2020ビジョン」に代わる新たな指針と行動計画について議論した。

 被爆地の両市をはじめ、役員都市(25カ国27都市)のうちの16カ国18都市から、首長たち約60人が出席した。松井市長がいる広島国際会議場(広島市中区)と各地をビデオ会議システムでつなぎ、冒頭を除いて非公開で討議した。

 松井市長はあいさつで「核保有国とその同盟国は核抑止論に固執している。核廃絶を市民社会の総意とした上で、為政者に政策転換を促さなければならない。加盟都市の拡大や組織強化が重要だ」と述べた。

 新たな指針を巡っては、松井市長が19年11月、核廃絶の目標年限を明示しない方針を表明済み。同月にドイツで開いた理事会では「核兵器のない世界の実現」「安全で活力のある都市の実現」との目標を維持しつつ、これらの達成に向けた「平和文化の振興」を掲げると合意している。

 新指針にはこうした内容を盛り込む見通しで、松井市長が13日に公表する。

 新指針は当初、20年8月に広島市で総会を開いてまとめる予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で2度延期した。2020ビジョンが20年末で期限切れとなる中、新指針などは早く作る必要があるため、役員都市のオンライン理事会で決めることにした。

 2020ビジョンは、平和首長会議の前身の「平和市長会議」が03年に発表した。目標のうち20年までの核兵器廃絶は達成できなかったが、核兵器禁止条約の発効は今年1月に実現された。(小林可奈)

平和首長会議
 核兵器廃絶を目指す都市の連帯組織。今年7月1日時点で165カ国・地域の8037都市が加盟している。会長は広島市長、副会長は長崎市を含む世界14都市の首長が務めている。1982年の国連軍縮特別総会で荒木武・広島市長(当時)が提唱し、長崎市長と共に呼び掛けて発足した「世界平和連帯都市市長会議」が前身。2001年に平和市長会議、13年に現在の名称へそれぞれ改称した。

(2021年7月8日朝刊掲載)

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