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安保法訴訟 原告が敗訴 山口地裁判決 憲法判断示さず

 安全保障関連法成立で平和的生存権などを侵害されたとして、山口県内の戦争体験者たち131人が1人当たり10万円の慰謝料を国に求めた集団訴訟の判決が21日、山口地裁であった。平和的生存権は法律上保護される利益として具体的とはいえないとして、請求を棄却した。憲法判断も示さなかった。

 山口格之裁判長は、平和的生存権は抽象的概念である平和を中核に据え、価値観や時代背景で捉え方が異なる可能性があり、具体的な内容の特定は難しいと指摘。「戦争やテロ行為の危険が高まったことを具体的に認めるに足りる証拠はない」として人格権の侵害も否定した。

 憲法判断を求めた原告の主張は「個別具体的な権利利益の侵害がある場合にされるもので、違憲審査権を行使する必要はない」と退けた。

 弁護団によると、同種の訴訟はこれまでに山口を除く地裁で14件、高裁で3件の判決が出て、いずれも原告が敗訴している。弁護団の内山新吾弁護士は「憲法判断が示されず、残念だ。諦めずに控訴したい」、国は「主張を理解してもらえたと受け止めている」としている。(柳本真宏)

(2021年7月22日朝刊掲載)

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