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8・6平和宣言 広島「平和体現の地」 広島市が骨子発表 5人の体験引用

 広島市の松井一実市長は1日、被爆68年の平和記念式典(6日)で読み上げる平和宣言の骨子を発表した。被爆体験談5編を引用し、「絶対悪」「非人道性」の言葉を用いて核兵器をあらためて否定。核抑止力に依存する安全保障の危うさを指摘する。「ヒロシマは日本国憲法が掲げる平和主義を体現する地」と表明する。

 国際社会で、核兵器の非人道性に焦点を当て廃絶を訴える国が増えていることに言及。日本政府にこうした国々との連携強化を求める。世界の為政者に向けては「信頼と対話に基づく安全保障体制への転換」を求め、広島訪問を呼び掛ける。

 日本の原子力政策をめぐっては、核拡散防止条約(NPT)に加盟していない核保有国インドに原発を輸出する交渉を進めていることに懸念を表明。東京電力福島第1原発事故を踏まえ、政府に「国民の暮らしと安全を最優先にした責任あるエネルギー政策」の実行を求める。

 安倍晋三首相が改正に意欲を見せている憲法については、平和主義が被爆地の復興に及ぼした功績を説く。

 体験談は宣言の前半に盛り込む。結婚後間もなく、被爆したことを理由に義母から差別され、離婚させられた女性や、被爆の後障害に苦しむ男性たちの苦しみを伝え、それを乗り越えて平和を願う被爆者の思いを発信する。松井市長は記者会見で「できるだけ理解しやすい表現に努め、若い世代への継承を意識した」と話した。

 式典は中区の平和記念公園で午前8時に開始。米国が原爆を投下した8時15分に黙とう後、松井市長が平和宣言を読み上げる。(岡田浩平)

(2013年8月2日朝刊掲載)

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