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「黒い雨」援護拡大急ぐ 広島知事・市長 一問一答 「心から感謝」「感無量」

 「黒い雨」を巡る訴訟で菅義偉首相が上告断念を表明した26日、首相と官邸で面会した広島県の湯崎英彦知事と広島市の松井一実広島市長は首相の判断を高く評価し、被害者救済への思いを新たにした。面会後の報道陣との主なやりとりは次の通り。

  ―首相の上告断念の表明をどう受け止められましたか。
 湯崎知事 黒い雨を浴びた方々の長年にわたるつらい思い、苦しい思い、不安な思いを理解していただいた。心から感謝したい。原告以外の方々の救済は国、県、市で詰めることがある。早く救済されるよう努力したい。

 松井市長 行政判断、手続きの問題を首相の政治決断で乗り越えた。感無量だ。被爆者援護制度の充実につなげるような対応をしっかりやっていく。

  ―なぜ、首相が上告断念を判断したと思いますか。
 湯崎知事 (首相自身が)厚生労働省の話を聞いたり、広島県選出の国会議員が働き掛けたりなど、さまざまなチャンネルの中で熟慮されたと思う。私は首相が自身で判断すると聞いていた。ひょっとすると、という思いがあった。

 松井市長 一刻も早く救済を、といろいろな形で田村憲久厚労相に伝えた。地元の国会議員も働き掛けてくれた。熟慮に熟慮を重ねたという首相の言葉があった。それらを全て受け止めて、しっかりそしゃくしていただいた。

  ―原告以外についてどういう救済策を提案しますか。
 松井市長 (黒い雨を浴びた人が該当する)3号被爆者については健康診断受診者証を出し、病状を確認してから手帳を出してきた。その手続きを切り替えるかどうかが最大の問題。被爆者の年齢を考えると、国には救済の措置を講じてほしい。

 湯崎知事 まずは救済できる人を早く確定していくこと。どういう対象の人にどう対応するか。いろんな政令や法律の改正があり得る。できるだけ多くの人々が救済されるよう早急に考える必要がある。

  ―援護対象区域(大雨地域)を再検証する検討会合については。
 湯崎知事 取り扱いも含めて、これから相談が必要だ。引き続き検討会合をやる必要があるのか。それとも、ある意味結論が見えているので検討会合は置いておいて(区域の拡大を)決めていくのか。

 松井市長 区域を科学的知見で広げられるかどうかの議論を超えて、どこまで拡大するかという議論が要る。(首相の決断を基に)救済措置の拡充に向けて議論したい。

(2021年7月27日朝刊掲載)

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