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写真や記憶基に原爆テーマの絵 岩国の山田さん 2日から展示

 平和の大切さを若い世代に伝えようと、岩国市原爆被害者の会の山田英子会長(86)=同市天尾=が原爆をテーマにした絵画を制作している。同会が8月2~31日、同市麻里布町の山口銀行岩国支店で開く原爆展で披露する。「平和を学ぶ機会にしてほしい」と来場を呼び掛けている。

 手掛けているのは原爆投下直後のきのこ雲や、長崎市の平和祈念像などをそれぞれ直径15~20センチの丸太の断面に描く4作品。写真や記憶を基に、きのこ雲は黒や黄、赤などのアクリル絵の具を混ぜて表現する。平和への思いを強調するため祈念像の背景を赤にするなど工夫を凝らしている。

 1945年8月6日、広島市矢賀町(現東区)の自宅を離れ、疎開先の河内村(現佐伯区)の学校にいた山田さん。衝撃で割れた窓ガラスや立ち上るきのこ雲、黒焦げの遺体が運ばれる様子を覚えている。

 2015年には体験をまとめた紙芝居を自作し、子ども向けの証言活動を続けてきた。今年4月、近所にUターンして工房を開いたイラストレーターの三崎隆宏さん(61)との出会いをきっかけに「長崎を最後の被爆地にとの思いを込めた絵を描きたい」と、助言を受けながら週2日ペースで制作してきた。

 「夏休みの子どもが親と一緒に作品を見て平和の大切さを考えてくれたらうれしい」と山田さん。原爆展には広島市の高校生が被爆者の体験を聞き取って描いた絵も展示する。銀行の営業時間の午前9時~午後3時。土日祝は休み。(永山啓一)

(2021年7月27日朝刊掲載)

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