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岸田氏、上告断念を評価 原告以外も早期救済要望

 自民党の岸田文雄前政調会長(広島1区)は29日、広島原爆の「黒い雨」訴訟で上告を断念した菅義偉首相の対応を評価する一方、被害を訴える原告以外の人たちについて「高齢化が進んでおり、時間との闘いだ」と早期救済を求めた。新型コロナウイルスの濃厚接触者認定に伴う2週間の自宅隔離措置が明け、岸田派会合であいさつした。

 政治決断の背景には、昨年7月の一審敗訴を受けた政府・自民党内のやりとりが関係していると解説。当時は政調会長で、厚生労働相だった加藤勝信官房長官(岡山5区)に「有識者会合を設け国の援護対象区域(大雨地域)を拡大するのが控訴同意の条件だ」と迫ったという。岸田氏を支える政調会長代理は、田村憲久厚労相だった。

 岸田氏は今回、加藤、田村両氏に自宅から電話で「区域拡大が行われていないのに上告は到底納得できない」と訴えた。原告以外の被爆者認定が進むことに期待を寄せつつ、「どう救済するか、しっかり考えていく必要がある」とくぎを刺した。

 その上で「広島、長崎の皆さんにとって大きな関心事であるだけでなく、国民に寄り添った政治が行われるかどうか、政府・与党において大変重要なことだ」との認識も示した。(下久保聖司)

(2021年7月30日朝刊掲載)

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