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福島に根付け被災ネコヤナギ 東広島の高橋さん・沖田さん 挿し木2本を植樹へ

 東日本大震災による津波で枯れかけたネコヤナギの再生を通じ、東広島市の男性2人が被災地に寄せる思いの輪を広げている。福島県から持ち帰った枝をことし4月に挿し木。現在は高さ約30センチにまで育ち、葉もつけている。(安道啓子)

 同市西条土与丸の高橋敏明さん(72)は、現地で約2週間のボランティアをして戻った友人の沖田泰夫さん(80)=同市八本松町=から、長さ80センチほどの枝を託された。海水をかぶって弱ったネコヤナギの枝だった。

 高橋さんは西条農高園芸科の元教諭。比較的元気そうな部分を選んで4本を挿し木にした。3本が約1カ月で根を張り始めた。

 高橋さんは沖田さんと相談し、3本のうち1本を自宅近くの畑に作った約200平方メートルの広場に植えた。周囲にはアサガオやサルビアも育て、近所の人が自由に遊べるようにした。高橋さんは「いつ災害が起きるか分からないという心構えを忘れず、困難に負けず強く生きようと思うきっかけになれば」と期待する。

 沖田さんは震災の2カ月後の2011年5月から計16回ボランティアに行っており、今も福島で活動中。残り2本を次に訪れるときに携えて行き、小学校とボランティアセンターに植える予定だ。沖田さんは「たくさんの友達を失った子どもたちを元気づけたい」と願っている。

(2013年8月2日朝刊掲載)

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