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「高校無償化対象外は違憲」 広島朝鮮学園など国に損賠提訴

 朝鮮学校を高校無償化の対象外としたのは憲法違反として、広島朝鮮高級学校(広島市東区)を運営する広島朝鮮学園(同)と、同校の生徒、卒業生計110人が1日、無償化の適用や約5670万円の損害賠償を国に求める訴えを広島地裁に起こした。

 訴状などによると、高校無償化は2010年4月に導入。文部科学省は朝鮮学校への適用を認める方向で審査を始めた。しかし、同年11月に北朝鮮が韓国を砲撃したことを受け審査を凍結。ことし2月、日本人拉致問題が進展しないことも理由に、無償化の対象外とすることを表明した。

 原告110人は、10~12年度の卒業生52人と在校生58人。「憲法が定める平等権を侵害された。経済的負担により、民族教育を行う自由を含む教育の自由も奪われかねない」などと主張している。

 提訴後に記者会見した同学園の韓政美(ハンジョンミ)理事長は「日本で生まれ育つしかなかった私たちを除外することに、負けてなるものかという気持ち」と強調。原告2人の母親の呂民愛(リョウミネ)さん(44)は「教育の場に政治を持ち込むのはおかしい」と話した。

 文科省は「訴状が届いておらず、コメントできない。適切に対応する」としている。朝鮮学校への無償化の適用を求める同様の訴訟は、大阪、名古屋地裁でも起こされている。(長久豪佑)

(2013年8月2日朝刊掲載)

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