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被爆者向け施設建設は白紙 江津・有福温泉荘の跡地活用 特養選定漏れで

 今年末で閉鎖する被爆者向け宿泊施設、原爆被爆者有福温泉療養研究所「有福温泉荘」(江津市)の跡地に、広島の社会福祉法人が検討していた新たな被爆者向け宿泊施設の建設計画が白紙になったことが、1日分かった。

 計画していたのは広島市東区の社会福祉法人かきつばた福祉会(山田忠義理事長)。閉鎖後、広島原爆障害対策協議会(原対協、広島市中区)が江津市に返還する跡地約3200平方メートルに、特別養護老人ホーム(30床)と併設する形で、新たな被爆者宿泊施設(30室)の建設を予定していた。

 特養施設の設置を浜田地区広域行政組合に申請していたが7月、選定に漏れた。同組合は「防災対策など総合的に判断した」としている。同福祉会は「被爆者療養施設は特養と併設でないと採算が難しい」と話している。

 温泉荘は12月20日まで営業を予定。その後、建物を取り壊し更地となる。江津市の山下修副市長は「跡地の活用は大きな課題。地域全体の問題として考えたい」としている。

 温泉荘は1967年に原対協が開設し、今年7月末までに延べ83万人以上が利用。被爆者の高齢化や施設の老朽化で利用者が減り、昨年11月に閉鎖を決めていた。(森田晃司)

(2013年8月2日朝刊掲載)

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