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被爆証言継承へ計画案 広島の勉強会 原爆資料館に提言

■記者 森田裕美

 広島の市民有志の勉強会「ヒロシマ継承の会」は13日、被爆体験を語り継ぐための提案書を原爆資料館(中区)の前田耕一郎館長に届けた。被爆者の高齢化が進む中、被爆の実情を語れる人材の育成プログラムなどを提言している。

 提案書は、被爆者の証言や資料館の事業などを通じた体験の継承活動の現状を分析。被爆を体験していない世代が「証言」する場合は、原爆被害の全体像を踏まえ、思い込みや主義主張を排して事実を正しく伝えることが必要だと強調した。

 その上で、必要となる知識や訓練の項目を提示。被爆証言活動の支援拠点の役割を果たしている資料館に、「次世代の証言者」の育成を求めている。

 勉強会は、いずれも被爆者の広島大名誉教授葉佐井博巳さん(78)=佐伯区=と、元科学ジャーナリスト伊藤笙さん(63)=福岡市=が発案し、4月までの5カ月で8回開催。資料館の案内ボランティアを中心に延べ166人が参加し、被爆証言ビデオを見るなどして意見を交わしてきた。

 葉佐井さんと伊藤さんから提案書を受け取った前田館長は「資料館の内部だけで具体策を検討するには限界がある。今後の参考にしたい」と話していた。

(2009年5月14日朝刊掲載)

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