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広島の訴訟原告ら、原爆症認定を歓迎 東京では控訴断念を要請

 原爆症認定申請を却下された近畿地方の8人の被爆者が、却下処分の取り消しなどを求めた訴訟で、全員を原爆症と認めた2日の大阪地裁判決は、広島でも波紋を広げた。同様に却下処分の取り消しなどを求める訴えを広島地裁に起こしている被爆者と弁護団が、広島市中区の広島弁護士会館で記者会見した。判決を歓迎するとともに、国に認定の在り方を見直すよう求めた。

 「国がこれまでの審査方法を反省し、忠実に新基準に沿った審査をする流れになるのでは」。広島地裁の弁護団事務局長を務める二国則昭弁護士は大阪地裁判決を評価。「他の地裁での訴訟に与える影響も大きい。控訴しないよう国に働き掛けたい」とも述べた。

 広島地裁では原告27人が係争中。会見に同席した内藤淑子さん(68)=安佐南区=は「背中を押された気持ち」と喜ぶ一方、「裁判をしなければ認めてもらえない制度はおかしい」と疑問も投げ掛けた。

 東京・霞が関の厚生労働省前ではこの日、上京した大阪地裁の弁護団のメンバーが、控訴しないよう求める田村憲久厚労相宛ての要請書を職員に手渡した。首都圏の被爆者や東京地裁での訴訟を担当する弁護士たち約30人も集結。被爆者たちは「行政と司法は懸け離れている」「認定制度の抜本的な改正が必要だ」と声を上げた。(長久豪佑、藤村潤平)

(2013年8月3日朝刊掲載)

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