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上関原発漁業補償 配分案採決を見送り 

 中国電力の上関原発建設計画(山口県上関町)に伴う漁業補償金を一転して受け取る議決をした山口県漁協祝島支店(同町祝島)は2日、予定していた補償金配分案を採決する組合員全体集会を中止した。配分案などを説明する予定だった県漁協本店(下関市)の幹部が定期船の発着場で反対派島民らの抗議を受け出席を断念した。

 祝島支店は2月の集会で補償金受け取りを決めたが、配分案を採決する集会を6月に続いて再び開けない異例の事態となった。

 船の発着場に集まった約100人の原発反対派がプラカードを持ち「海は金で売らない」などと抗議の声を上げて、定期船で訪れた県漁協本店の仁保宣誠(むべなり)専務理事たち5人を取り囲んだ。仁保専務理事は約20分後に船に押し返されて「残念としか言えない。これ以上は混乱を招く」として島を退去した。集会は午後5時からの予定で、会場の祝島公民館には組合員約40人が集まっていた。

 開催を阻止した格好の「上関原発を建てさせない祝島島民の会」の清水敏保代表は「県漁協本店の強引な進め方で開催されようとしており、集会は認めることができなかった」と説明した。祝島支店の恵比須利宏運営委員長は「今回、決着しようと思っていた。異常な事態だ。次の集会については全くの白紙」と困惑していた。

 祝島支店は補償金約10億8千万円の受け取りを拒否してきたが、2月末の全体集会では賛成多数で一転して受領を議決していた。6月21日の集会で配分案を採決する予定だったが、悪天候を理由に延期されていた。(久行大輝、井上龍太郎、堀晋也)

(2013年8月3日朝刊掲載)

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