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原告以外の救済 協議へ 実務者級 厚労相が表明

 田村憲久厚生労働相は30日の記者会見で、広島への原爆投下後に降った「黒い雨」を巡る訴訟で原告84人全員を被爆者と認定した控訴審判決の確定を受け、原告と同じ事情にあった人の被爆者認定を進めるために広島県、市と近く実務者協議を始めると述べた。

 政府は、菅義偉首相の上告断念表明を受けて翌27日に閣議決定した首相談話で、「訴訟への参加・不参加にかかわらず、認定し救済できるよう早急に対応を検討する」とした。広島県、市によると首相談話の発表後、「自分も黒い雨を浴びた」などとする問い合わせが相次ぎ、30日までに約50件に上った。

 田村氏は「どのような形で認定申請(に関する問い合わせ)が出てきているのかを踏まえ、早急に実務者で話し合いを進めたい」と述べた。厚労省と県、市の3者協議では、認定基準となる指針をどう改めるのかがテーマとなる見通しだ。

 また田村氏は、8月6日に広島を訪問して市主催の平和記念式典に参列し、被爆者団体とも面会すると表明。黒い雨訴訟の関係者を招くかは「市と調整しているが、現時点で聞いていない」とした。(樋口浩二)

(2021年7月31日朝刊掲載)

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