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戦争実態・記憶 どう伝える 被爆76年 広島各局が特番

NHK広島 仁科芳雄の未公開書簡で迫る
広島テレビ 長濱ねるさんが被爆者に聞く
RCCラジオ 二階堂和美さんらが語り合う

 被爆から76年。広島各局はこの夏、さまざまな角度から原爆関連の特集番組を放送する。記憶の継承の方策を探ったり、知られざる戦争の実態を掘り起こしたりする番組が目立つ。(里田明美)

■テレビ

 NHK広島放送局は7日午後11時、Eテレで自局制作の「日本の原爆開発~未公開書簡が明かす仁科芳雄の軌跡」を放送。日本が極秘裏に進めた原爆開発の真実に、岡山県里庄町出身の物理学者仁科芳雄が残した1500通の未公開書簡で迫る。俳優の吉岡秀隆さんが仁科役で出演し、書簡を朗読する。

 総合でも自局で制作した2番組を届ける。「原爆初動調査 隠された真実」は9日午後10時から、「銃後の女たち~戦争にのめり込んだ〝普通の人々〟」は14日午後9時から。

 RCCテレビは6日に「描く 被爆76年の広島から」(放送時間未定)。13歳で被爆し、家族3人を奪われた89歳の男性は、今も原爆の絵を描き続ける。その姿を追うとともに、ヒロシマに向き合う大学生や原爆資料館の学芸員、記者自らが感じた焦りや迷いを交え記憶の継承を考える。

 広島テレビは、6日午前8時から平和記念式典の中継を含め約2時間半の特別番組「つなぐヒロシマ」を放送。ジャーナリストの池上彰さんをゲストに迎え、被爆体験の継承の課題や、核を巡る国際情勢を伝える。同日午後3時48分からの「テレビ派」では長崎国際テレビなどとの共同企画を展開。長崎市出身で元欅坂46の長濱ねるさんが、被爆者や若者に話を聞く。

 テレビ新広島は、6日午前9時50分から「被爆地にたつ孤児収容所~2千人の父、上栗頼登」。戦後間もなく開設された施設「広島新生学園」の歴史をたどり、戦争に翻弄(ほんろう)された子どもたちの姿を浮き彫りにする。

 広島ホームテレビは、8日午後2時55分から「拝啓 国会議員様 核廃絶はできますか」を再放送する。1月に発効した核兵器禁止条約に、なぜ日本が参加しないのか。広島の若者たちが、広島選出の国会議員に問い掛ける。

■ラジオ

 RCCラジオは、6日正午から特別番組「蝉にたくして~Cicadas Sing」。広島を拠点に活動するシンガー・ソングライター二階堂和美さんと詩人のアーサー・ビナードさんが語り合う。

 NHKラジオ第1は、9日午後8時5分から「被爆オリンピアンが遺したメッセージ」。1936年のベルリン五輪に砲丸投げの日本代表として出場し、出身地の広島で被爆した高田静雄の半生を朗読劇でたどり、国の壁を越えるスポーツの力について考える。

(2021年7月31日朝刊掲載)

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