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被爆バイオリン 声なき伝言 映像作品に 広島の牛田中PC放送部 コンテスト県大会最優秀 

ロシア人教師の生涯追う

 被爆バイオリンを題材に映像作品を制作した牛田中(広島市東区)PC放送部が、NHK杯全国中学校放送コンテスト広島県大会で1位(テレビ番組部門)に輝いた。白系ロシア人被爆者セルゲイ・パルチコフさん(1893~1969年)の生涯を追った。7日からの全国大会に進む。

 ロシア革命から逃れたパルチコフさんは広島女学校(現広島女学院中高、中区)の音楽教師になり、当時は珍しい女子生徒のオーケストラを結成。地域の音楽文化への貢献を、生徒たちは8分間にまとめた。

 直接指導を受けた元生徒の女性は「教えることに情熱を注いでおられた」と証言。爆心地から約2.5キロの自宅で被爆したことや、長女の故カレリアさんが父の被爆バイオリンを広島女学院に寄贈した経緯を説明する。バイオリニスト成田達輝さんが音色を奏でるシーンも収めた。

 昨秋から制作に取り組み、孫アンソニー・ドレイゴさん(71)から写真を提供してもらった。3年の三浦永愛(えな)部長(15)は「原爆で傷つき、大切に受け継がれてきた楽器への人々の思いに触れてほしい」と話す。

 同部はアナウンス2、3位、朗読1位、ラジオ番組部門は2位で、出場した県内23校で総合1位に選ばれた。(湯浅梨奈)

(2021年8月2日朝刊掲載)

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