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「裏切られた思い」 広島の被爆者ら失望

 国際オリンピック委員会(IOC)が東京五輪開催期間中の「広島原爆の日」に黙とうを呼び掛けない方針が明らかになった1日、広島の被爆者たちに失望感が広がった。

 7月下旬に黙とうの呼び掛けを要請した広島県被団協(坪井直理事長)の箕牧(みまき)智之理事長代行は「全世界の人に8月6日を知ってもらえる機会になったはずなのに残念だ。バッハ会長は原爆資料館も見学し、理解があると信じていたが裏切られた思いだ」。同様の要請をした県原水禁の金子哲夫代表委員は「実現すれば、平和の祭典という位置付けを示せた。全ての戦争犠牲者への思いを込めて黙とうの呼び掛けを要請しており、実行してほしかった」と話した。

 広島市平和推進課は「選手村などそれぞれの場所で黙とうし、心の中で広島での平和記念式典に参加していただきたかった。正式な回答はまだないが、残念だ」とした。

 インターネットで1万6千筆以上の署名を集めている秋葉忠利前市長は「平和の祭典を掲げる五輪の存在意義の自己否定。世論が高まれば決定を覆せるはずだ」と署名活動を続ける考えを示した。(筒井晴信、余村泰樹、坂本顕)

(2021年8月2日朝刊掲載)

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