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憎しみ乗り越え和解する心説く 畑口元原爆資料館長 廿日市で講演会

 原爆資料館(広島市中区)の元館長畑口実さん(75)=廿日市市宮島口=の講演会「語り継ぐヒロシマ」が3日、廿日市市の中央市民センターであった。

 胎内被爆者の畑口さんは「生まれた時から被爆者だった」と説明。妊娠していた母チエノさんが原爆投下の4日後、旧大野村から広島市に出勤した父二郎さんを捜しに行き、被爆したという。「実感がないのに被爆者と言われる。平和、原爆を遠ざけて生きてきた」。21歳で母から渡された被爆者健康手帳はすぐに机にしまったと明かした。

 51歳の時、広島市の人事異動で館長に就任し、過去と向き合おうと決意。海外の要人と話す機会も増え、実感したことがあったという。「憎しみは消えないが、広島にはそれを乗り越えて和解する『ヒロシマの心』がある。だから、世界から被爆地として受け入れられている」と強調した。

 講演会は同センターなどが企画。廿日市市内の別の2会場とインターネットで中継し、計約40人が聞いた。大竹市玖波の主婦金子洋子さん(69)は「胎内被爆者としての苦しみがあったのだと知った。話を聞けて良かった」と話していた。(八百村耕平)

(2021年8月4日朝刊掲載)

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