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被爆の実態 後世へ 岡山で原爆平和展 写真や手記 反核の訴え

 岡山市原爆被爆者会は、広島、長崎の原爆被害について伝える「原爆平和展」を、岡山市北区の岡山シティミュージアムで開催している。被爆当時の写真や被爆体験をつづった手記、絵など約40点を展示。広島原爆の日の6日午前8時からは同市中区門田本町の市原爆被爆死没者供養塔前で慰霊祭も開き、犠牲者を悼む。(伊東雅之)

 原爆平和展は、毎年主に広島、長崎に原爆が投下された8月上旬に開いており、今年29回目。会場には焦土となった両市の市街地や、重いやけどを負った被爆者、米軍が原爆投下直後に写したきのこ雲の写真などが並ぶ。元中国新聞社カメラマンの松重美人さん(1913~2005年)が被爆当日、広島市内で撮影し、今年3月、ネガフィルムが広島市重要有形文化財に指定された写真もある。

 燃え上がるがれきの下敷きとなり助けを求める人や、水を求めて防火用水槽に群がる人々を描写した絵、証言もパネルにして展示。両市に使用された原爆の構造、被害地域、戦後の核兵器廃絶運動などを紹介する資料も添えている。

 岡山市北区の木村順子さん(46)は「学校の学習用資料にと長女と来たが、傷ついた子どもの写真など見ると言葉にならない」と話していた。広島市で被爆し、父を亡くした同会の廣信靖之会長(77)は「原爆の恐ろしさを多くの人に知ってもらい、被爆者が二度と生まれないことを願って続けている」と話す。

 廣信会長によると、県内に暮らす被爆者は今年4月1日時点で1102人。平均年齢は85歳と高齢化が進んでいる。こうした中、同会など県内9組織で構成する県原爆被爆者会に昨年11月、被爆2、3世による部会が発足するなど新たな動きも生まれているという。

 平和展は9日まで。午前10時~午後6時で無料。慰霊祭は小雨決行。市原爆被爆者会☎086(267)3596。

(2021年8月5日朝刊掲載)

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