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被爆体験聞き平和を考えて 柳井の浅海さん 6日学ぶ会 ガラス片浴びた母、弟はやけどで虫の息

 柳井市柳井の被爆者、浅海頼子さん(92)の体験を学ぶ会が6日午前10時から、柳井の市文化福祉会館で開かれる。76年前に広島市内の自宅で原爆に遭い、苦しんだ自身や家族の記憶を話す。「命の大切さを考えてほしい」と呼び掛ける。(山本祐司)

。  当時16歳で、広島市立第一高等女学校(現舟入高)の生徒だった。8月6日は学徒動員先の仕事が休みで、同市三篠本町(現西区)の自宅にいた。上空の飛行機に気付き、母に教えようと玄関に入った直後だった。「バーン」と原爆がさく裂した爆風に襲われ、約6メートル吹き飛ばされた。爆心地から2キロだった。

 ガラス片を浴び血を垂らす母や、帰宅した弟2人たちと逃げ、その晩は祇園町(現安佐南区)の知人の家に泊まった。翌日、弟のやけどのひどさに驚いた。末の弟は腕が体に引っ付くほどうみ、虫の息…。所在が分かった妹はやけどで顔が腫れ、服で本人と分かった。薬がない中、必死に看病した。家族は誰も命を落とさず、40日後に自宅の焼け跡に戻り生活を始めた。

 自身は大きなけがはなかったが、戦後、顔や手の甲から小さなガラス片が出ることも。趣味の卓球に打ち込み、被爆の不安を拭った。年齢を重ね「二度とあってはいけない」と2013年、非政府組織(NGO)ピースボートの船旅に参加し証言活動を始めた。

 6日はビデオで体験を紹介し、質問に答える。主催するやない平和を語る会の久保優子代表(55)は「壮絶な経験をした人たちの平和への思いを引き継ぎたい」と力を込める。久保代表☎090(1680)2753。

(2021年8月5日朝刊掲載)

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