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核なき世界 誓いの時 広島きょう原爆の日 参列者を限定

 被爆地広島は6日、米軍による原爆投下から76年となった。被爆者たちの悲願だった核兵器禁止条約が発効して初めて迎える「原爆の日」。広島市は午前8時から、原爆死没者慰霊式・平和祈念式(平和記念式典)を中区の平和記念公園で営む。犠牲者を悼み、核兵器のない世界の実現へ着実な歩みを誓う日となる。(久保田剛)

 新型コロナウイルスの感染予防のため、昨年に続いて参列者を絞った。例年の1割に満たない778人を予定。菅義偉首相や国連軍縮担当上級代表の中満泉事務次長のほか、海外からは86カ国と欧州連合(EU)の代表者が出席する。核兵器保有国は、中国と北朝鮮を除く7カ国の大使たちが列席する。各都道府県の遺族代表は24人を見込み、昨年の23人に次いで2番目に少ない。

 開式後、松井一実市長と遺族代表2人が、この1年間に死亡が確認された4800人の名前を書き加えた原爆死没者名簿を、原爆慰霊碑に納める。名簿は2冊増えて121冊、計32万8929人となる。原爆投下時刻の8時15分、遺族代表の村田英美さん(58)=東区=と、こども代表の八幡東小6年石田渚(なぎさ)さん(11)=佐伯区=が突く「平和の鐘」の音とともに黙とうする。

 今年1月に発効した核兵器禁止条約に対し、核兵器保有国や日本政府など「核の傘」に頼る同盟国は背を向け続けている。松井市長は式典で読み上げる平和宣言で、日本政府が被爆者の思いを誠実に受け止めて条約の締約国となるよう要請。来年1月にオーストリアで予定される第1回締約国会議に参加し、保有国と非保有国の橋渡し役の実行を求める。

 原爆投下後に降った「黒い雨」の被害者の幅広い救済も要求する。7月29日、国の援護対象区域外で黒い雨に遭った原告84人を被爆者と認めた広島高裁判決が確定したことを踏まえる。

 コロナ禍で昨年は中止された、ハトを放つ「放鳩(ほうきゅう)」に続き、袋町小6年伊藤まりあさん(12)=中区=と、五日市東小6年宅味義将さん(11)=佐伯区=が「平和への誓い」を発表。菅首相があいさつし、会場のモニターでは、参列を断念した国連のグテレス事務総長のメッセージを放映する。

 厚生労働省によると、被爆者健康手帳を持つ被爆者は今年3月末時点で12万7755人。初めて13万人を下回り、平均年齢は過去最高の83・94歳となった。

(2021年8月6日朝刊掲載)

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