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シンガポール大統領  被爆証言聞く  外国元首初 

■記者 東海右佐衛門直柄

 国賓として来日中のシンガポールのナーザン大統領が14日、広島市中区の平和記念公園を訪れ、元原爆資料館長の高橋昭博さん(77)から被爆体験を聞いた。公式訪問中の外国の元首が、被爆者の証言を聞くのは初めて。

 大統領を公園内の広島国際会議場の応接室で迎えた高橋さんは、まず「日本軍の占領中、シンガポールの皆さんに大変申し訳ないことをした」と謝罪した。皮膚が焼けただれて逃げまどう人々、死体が浮かぶ川面など被爆の惨状を30分間かけて語り、「被爆者は核兵器が全廃されることを信じている」と訴えかけた。ナーザン大統領は沈痛な面持ちで時折、目を閉じながら聞き入り「とても心を揺さぶられた。過ちが二度と起きてはならない」と応じた。

 被爆地の訪問は、ナーザン大統領自らが望んだ。原爆慰霊碑に花を手向け、原爆資料館も見学した大統領は「広島の皆さんが深い悲しみの中から街を復興させてきたことを知り、感銘を受けた」と思いを言葉にした。

(2009年5月15日朝刊掲載)

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