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核なき世界 若者ら探る 原水禁など 広島大会開幕

 原水禁国民会議などは5日、原水爆禁止世界大会の広島大会を広島市中区で開幕した。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、来場者を入れず、行事や討論をインターネット配信する形式とした。6日まで。有識者や若者の報告を通じ、核兵器禁止条約をてこに「核なき世界」を目指す道筋や被爆体験の継承の在り方を考えた。

 県民文化センターでの開会行事で、金子哲夫共同実行委員長は1月発効の同条約を「核兵器を明確に違法と断じており画期的。発効は核なき世界の実現に向けた大きな一歩だ」と評価。背を向ける政府に署名・批准を求め続けると宣言し、四つの分科会に入った。

 政府の姿勢を問う分科会では、NPO法人ピースデポ(横浜市)の湯浅一郎代表(71)が米国の「核の傘」に頼る現状を脱する必要性を強調。韓国、北朝鮮を交えた北東アジア3カ国を非核地帯とするよう唱えた。

 課題である若い世代への発信を強めるため、平和活動に取り組む10~30代を各分科会に招いた。元高校生平和大使で広島市の被爆体験伝承者事業の研修を受ける広島大医学部3年井上つぐみさん(21)=安芸区=は、原爆孤児だった西区の川本省三さん(87)からの継承過程を紹介。「若い人が体験を語り継いでくれるのが何よりうれしいとの声が励みになる」と語った。

 6日は会場と海外の有識者たちをインターネットで結んで討論する二つのシンポジウムを開催。8日は長崎市に舞台を移し、観客を入れる長崎大会を9日まで続ける。(樋口浩二)

(2021年8月6日朝刊掲載)

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