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胎内被爆者 心に傷痕 広島で集会 継承の在り方探る

 母親のおなかの中で原爆に遭った人たちでつくる「胎内被爆者の会」(原爆胎内被爆者全国連絡会)は5日、広島市南区の市総合福祉センターで集会を開いた。新型コロナウイルスの影響で初めて広島会場と各地をオンラインでつないで開催。県内や東京、京都などから約40人が参加し、被爆後の生活や後世への継承の在り方を語り合った。

 同会が昨年末に発行した手記集「生まれた時から被爆者」の執筆者6人が体験を発表した。広島市西区の小西ヒサ子さん(75)は、中学生になるまで薬が手放せなかったと説明。同市の被爆体験伝承者として証言を続けており「被爆者がどう生きたか、子どもたちに伝えなければ」と強調した。

 就職後に下血が続き胃腸を摘出した男性は「放射線の影響は時間がたってからでも表れる」と被爆の恐ろしさを指摘。2歳で母を亡くした男性は「家庭が崩壊し、広島を避けて生きてきた」と苦労を語った。

 同会は現在、20都府県の84人。代表世話人の二川一彦さん(75)は「胎内被爆者は心にケロイドを抱えている。同じ思いをする人が二度と出ないよう活動を続けたい」と話した。全国の胎内被爆者で被爆者健康手帳を持つ人は3月末時点で6774人。前年から105人減った。(余村泰樹)

(2021年8月6日朝刊掲載)

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