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オリバー・ストーン監督「原爆が終戦早めた、はウソ」 広島の原爆資料館見学

 米国が広島、長崎に原爆を投下した経緯を検証するドキュメンタリー作品を手掛けた米国人映画監督のオリバー・ストーン氏(66)が4日、初めて広島市を訪れた。原爆資料館(中区)を見学後、取材に応じ、「原爆が終戦を早め、それ以上の犠牲者を防いだ」とする米国内の論調について、「米国が創り上げた神話。全くのうそだ」と強調した。(田中美千子)

 ストーン氏は原爆資料館で、被爆直後の写真や被爆者の遺品などを熱心に見入った。取材には「ぼろぼろの服などの展示が印象的だった」と述べた。アジア情勢にも言及し「中国を意識して、アジア諸国が軍事力を強化している」と危機感を表明。「だからこそ、広島は正しく記憶され続けなければいけない」と被爆地の役割に期待を寄せた。

 ストーン氏は、ベトナム戦争を描いた「プラトーン」などの作品で知られる。今回、ドキュメンタリー作品の脚本を共同執筆したアメリカン大のピーター・カズニック准教授と一緒に広島を訪れた。

 7日まで滞在し、中区の平和記念公園で開かれる平和記念式典(6日)に出席するほか、市民集会への参加や被爆者との交流などを予定している。長崎、東京、沖縄を訪れ、今月中旬に帰国する。

(2013年8月5日朝刊掲載)

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