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核禁条約 乏しい熱意 83ヵ国・EU代表参列 保有国 否定的な見解

 広島市中区の平和記念公園で6日にあった平和記念式典に、83カ国と欧州連合(EU)の代表が出席した。新型コロナウイルス禍が続く中、昨年と同数で、うち核保有国は7カ国を数えた。ただ、核保有国の駐日大使たちからは今年1月に発効した核兵器禁止条約に否定的な意見が相次ぎ、被爆地の思いと相いれない現状を映し出した。(桑島美帆、小林可奈)

 核保有9カ国のうち米国、ロシア、英国、フランス、インド、パキスタン、イスラエルの代表が出席した。1月に発足した米バイデン政権からはレイモンド・グリーン臨時代理大使が臨んだ。5日に聞いた被爆証言に「非常に感動した」といい、「米国は日本と協力し、核を含めた軍備管理に努力する」と述べた。禁止条約への言及は避けた。

 条約不参加を明言したのは、3月に核弾頭保有数の上限引き上げを表明した英国のジュリア・ロングボトム大使。「国際安全保障は過去5年で不安定さを増している。自国と同盟国の防衛には、信頼性ある必要最小限の核抑止力を要する」と主張した。フランスのジュール・イルマン総領事も「核拡散防止条約(NPT)の枠組みで努力し、廃絶を進めたい」と話した。

 インドのマヤンク・ジョシ首席公使は「われわれは広島の原爆被害者と連帯している」とだけ述べた。

 こうした保有国の姿勢に対し、禁止条約を批准したジャマイカのショーナ―ケイ・リチャーズ大使は「条約は核軍縮を進める上で重要」と訴える。先月に大統領が暗殺されるなど混乱が続くハイチのオノラ・エルフモノド大使は「反核の意思を示すため式典に出席した。全ての国が禁止条約に参加すべきだ」と力を込めた。

(2021年8月7日朝刊掲載)

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