×

ニュース

条約参加や外交努力を 原水禁・協 広島大会が閉幕

 原水禁国民会議と日本原水協がそれぞれ中心となって開く二つの原水爆禁止世界大会が6日、いずれも広島での日程を終えた。新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、ともに広島市内での現地行事とオンラインを併用。核兵器の廃絶に向け、1月に発効した核兵器禁止条約を浸透させる決意を新たにした。

 原水禁などの広島大会は中区の県民文化センターと国内外の有識者をつないだシンポジウムを開き、禁止条約を生かすための日本政府の役割を議論。米科学者たちで構成する「憂慮する科学者同盟」メンバーの核問題専門家グレゴリー・カラキ氏は、バイデン米大統領が過去に推進の立場を表明している「核兵器の先制不使用」を日本が支持する外交努力が重要とし、「それが北東アジアを核兵器のない地帯にし、禁止条約加入への道を開く」と訴えた。

 原水協などの大会は東区の広島ロードビルで被爆者2人から証言を聞く集いを開き、約50人が参加。ビデオ録画で体験を語った矢野美耶古さん(90)=西区=は爆心地から約4キロで被爆し、多くの遺体を焼いた日々を振り返り、「原爆を投下された日本が核兵器禁止条約に批准しないのは残念。自分が生きている間に参加してほしい」と求めた。

 もう一人の切明千枝子さん(91)=安佐南区=は会場で「原爆投下前の広島は軍都で、中国や東南アジアから見ると加害の町でもあった。その反省なくして平和はない」と強調した。

 二つの大会はそれぞれ、政府に核兵器禁止条約への署名・批准を求める活動を強化する声明を採択した。(樋口浩二、余村泰樹)

(2021年8月7日朝刊掲載)

年別アーカイブ