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備後でも祈り深く 「コロナ禍… 式典だけは来なければ」

 広島に原爆が落とされて76年を迎えた6日、備後地方でも追悼の式典が各地で開かれた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で式の内容が縮小される中、遺族や市民が祈りをささげた。(猪股修平、石下奈海、政綱宜規)

 福山市原爆被害者友の会は同市霞町の中央公園の慰霊碑前で式典を開き、約50人が参列した。この1年で亡くなった30人を新たに記名した1456人分の死没者名簿を慰霊碑に納め、黙とうした。

 同市神辺町の山下玲子さん(66)は、姉の藤本和美さん(74)と共に出席。広島逓信病院(現広島市中区)で被爆し、6年前に亡くなった母を悼んだ。山下さんは「コロナ禍でも式典だけは絶対来なければと思った」と手を合わせた。

 終了後、被爆者の池尻博さん(96)=福山市赤坂町=から盈進高ヒューマンライツ部の生徒18人が当時の体験を聞いた。部長の塩川愛さん(16)は「原爆の恐ろしさを私たち世代からも伝えようと改めて決意した」と話した。

 尾道市東尾道の慰霊碑前でも、尾道地区原爆被害者の会が式典を開き、約60人が参加した。被爆2世で同市久保町の畑山利一さん(70)が、今年1月に発効された核兵器禁止条約に触れ「被爆国として日本も当然批准しなければならない」とあいさつした。

 三原市では、市原爆被害者之会が同市本町の慰霊碑前での式典を大幅に縮小。参列者を例年の半分以下の約40人に絞り、献花と黙とうにとどめた。苞山(ほうやま)正男会長(92)は「新型コロナの影響が続くが、核兵器廃絶の機運を止めてはいけない」と訴えた。

(2021年8月7日朝刊掲載)

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