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広島県北でも慰霊の輪 各地で追悼行事 「犠牲忘れない」

 広島原爆の日の6日、原爆や戦争で亡くなった人を悼む行事が県北各地で営まれた。米軍による原爆投下から76年。家族を亡くした高齢者から子どもたちまで、幅広い世代が核兵器の非人道性を胸に刻んだ。(伊藤友一、石井千枝里、石川昌義)

 原爆投下直後に広島陸軍病院庄原分院の臨時病棟があった庄原市山内町では、山内地区社会福祉協議会が主催する原爆犠牲者慰霊祭があった。病棟を設けた山内西国民学校(現山内小)近くに立つ慰霊碑前に遺族と地元住民25人が参列。広島から搬送され、この地で亡くなった88人の被爆者を悼んだ。

 祖父の神在義香さん(当時39歳)が同病棟で亡くなったという島根県飯南町のパート事務員升田厚枝さん(65)は娘や孫と参列した。升田さんは「76年たった今でも弔ってくださるのがありがたい」と感謝していた。また、庄原市仏教会は同市東本町の宝蔵寺にある「原爆犠牲軍人の碑」の前で追悼法要を営んだ。

 三次市小文町の河内小5、6年生7人は校庭で栽培したキク約200本を朝に摘み取った。地元住民が営む平和の集いに参加し、同校近くの戦没者慰霊碑に献花した。児童会長の6年藤川暖生(はるき)さん(11)は「戦争の愚かさをあらためて感じた」と花を手向けた。

 三次市の神杉地区自治連合会は、高杉町の神杉コミュニティセンター近くにある慰霊碑前で平和集会を開いた。小学生や保育園児を含む約60人が参加。旧陸軍西部第二部隊に所属していた父が被爆から約1カ月後に亡くなったという神杉遺族会の小田義則会長(78)=同町=は「多くの命が戦争で奪われたことを忘れない」と誓った。

(2021年8月7日朝刊掲載)

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