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「厳粛」条例下 初のデモ 広島市、音量分析後話し合い

 平和記念式典を「厳粛の中で行う」と定めた広島市平和推進基本条例が6月に施行されてから初の式典を迎えた6日、原爆ドーム(広島市中区)周辺には、反戦反核を訴えるデモ団体やデモに反対する団体が集まった。市は拡声器を使ったデモの音量を測定し、結果の分析を進めて団体と対応を話し合う。

 午前6時前には複数の団体が集合。条例に反対してきたデモ団体「8・6ヒロシマ大行動実行委員会」(中区)は人垣を築いて場所を確保し、拡声器で核兵器廃絶などを訴えた。条例に賛同し、市に静かな式典を求めてきた団体「静かな8月6日を願う広島市民の会」(東区)はデモ団体を囲み「厳粛かつ静謐(せいひつ)な式典を」と書いた紙を無言で掲げた。

 式典が始まると、デモ団体は拡声器で菅義偉政権を批判する文言を叫びながら、会場東側の元安川沿いを行進した。中島健共同代表(74)は取材に、「この日に声を上げて首相に訴えるからこそ意味がある」と主張。静かな8月6日を願う広島市民の会の石川勝也代表(65)は「静粛が守られず、公園が占有されている。市はきちんと管理してほしい」と求めた。

 条例は市議会が2019年に具体的な検討を始め、20年に素案をまとめた。市民からは1043件の意見が寄せられ、賛否が分かれた。特に「厳粛」の規定について「言論の規制につながる」と被爆者団体や弁護士会が懸念を示していた。

 市はこれまで、デモ団体に対し、拡声器から10メートル地点の音量を85デシベル以下にするよう求めていた。デモ団体によると、この日は拡声器の音量を下げる努力をしたという。市は会場周辺の10カ所で音量を測定しており、今後、分析を進める。市民活動推進課は「結果を見た上で、引き続き話し合いを続けたい」としている。(新山創)

(2021年8月7日朝刊掲載)

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