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元看護師の本谷さん 忘れられぬ被爆者救護 きょう上下北小で体験語る

 米国が広島に原爆を投下した直後、現在の広島市安佐北区で救護活動に携わった元看護師本谷キヨノさん(89)=府中市上下町=が5日、近くの上下北小で体験を語る。約30年前に体験を文章にしたが、人前で語る機会は少なかった。「今の人には戦争の実感がない。言い伝えないと」。そう決意した。

 戦時中、広島市内の陸軍病院に看護師として勤務していた本谷さんは、分院のあった現飯室小で8月6日を迎えた。翌7日、被爆者を乗せたトラックが到着。「全身皮が垂れ下がり、体に触ることもできなかった」と振り返る。

 薬をすぐに使い果たし、倉庫にあった傘に塗る油を使うしかなかった。泣く赤ちゃんに母乳をあげようとする母親の皮膚は焼けただれ、飲ますことができなかった。「そのまま亡くなった母子のことは今も忘れられない」

 あの日から68年になる。「今なら助けられた命もあった。助けてあげたかったが、どうにもならなかった。平和でないといけないことを子どもたちに分かってもらえれば」と話している。(筒井晴信)

(2013年8月5日朝刊掲載)

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