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核兵器廃絶 思い次世代に 広島原爆の日 山口・ゆだ苑で追悼式

 広島に原爆が投下された日の6日、山口市の県原爆被爆者支援センターゆだ苑で追悼式があり、被爆者たち約20人が参列した。犠牲者を悼み、核兵器のない世界の実現に向け思いを新たにした。

 参列者は献花台に花を手向け、原爆が投下された午前8時15分に黙とうした。犠牲者の遺骨が見つかった同市江良の原爆死没者之碑も訪れ、手を合わせた。ゆだ苑の岩本晋理事長(78)は1月の核兵器禁止条約の発効を受け「広島の人たちが平和を世界に広めようと努力した結果。核兵器廃絶の思いを次世代に継承するため活動を続ける」と誓った。

 広島女学院高女4年時に被爆した松井美都子さん(91)=防府市=は約50年ぶりに参列した。原爆投下の翌日、動員先の東洋工業(現マツダ)から西白島町(現広島市中区)の自宅に行った。下敷きになった両親と兄、妹は大けがを負い、避難先で再会。「父に抱き付きわんわん泣いた。静かな母も半狂乱になり抱きしめてくれた」。近所の友人は被爆死した。

 被爆時のけがで右目が一時見えなくなり、足にはケロイドが残る。「生きていることに感謝し手を合わせた。二度と戦争は起こしてはいけない」と祈りをささげていた。県内で被爆者健康手帳を持つ被爆者は昨年より183人少ない2022人で、平均年齢は85・26歳になる。(山下美波)

(2021年8月7日朝刊掲載)

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