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遺志継ぎ79人 邑南出発 「歩こう広島まで」創始者死去 「被爆者の道」追体験

 広島市から島根県邑南町へ逃れた被爆者の歩みを逆にたどる「歩こう広島まで」が4日、スタートした。今年で26回目で、取り組みを始めた田中庸三さん(同町出羽)が昨年12月、56歳で死去。一緒に歩いた参加者が遺志を継ごうと思いを込める。

 島根、広島、山口3県の12~88歳の79人が正午、田中さんの遺影を先頭に出羽公民館(同町山田)を出発。町内のお年寄りが折った千羽鶴1万羽を携え、約70キロ先の広島市を目指した。

 最多となる18回目の参加の町職員惣田智さん(36)=同町淀原=は中学1年の時から計12回、田中さんと歩いた。「昨年歩いた後で一緒に飲んだことを思い出す。次の世代へ思いを継ぐことが僕たちの責任」と話した。

 昨年も歩き田中さんに声を掛けられた瑞穂中3年尼川雅之君(14)=同町市木=も「被爆者の苦しみを学ぼうとした田中さんの思いを受け、最後まで歩き切りたい」と意気込む。

 一行は5日朝、同市中区の平和記念公園へ着く。(黒田健太郎)

(2013年8月5日朝刊掲載)

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