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次代の平和 笠岡で誓い 原爆死没者鎮魂式・つどい 被爆者高齢化 出席1人

 広島に原爆が投下されて76年を迎えた6日、県内各地で犠牲者追悼や平和祈念のイベントが開かれた。笠岡市では原爆死没者鎮魂式と平和祈念のつどいを市中央公民館(笠岡)で開催。市内の被爆者は高齢化が進み、ことしの出席は1人だけだった。被爆に関する伝承が懸念される中、地元の高校生が平和の誓いを読み上げ、次世代へ期待をつないだ。(谷本和久)

 市と市非核平和都市宣言啓発実行委員会が主催し、約40人が参列。「3密」を避けるため、会場は従来のかさおか平和のひろば(同)から変更し、中央公民館で初めて開催した。舞台下に祭壇と鐘を設け、スクリーンには同ひろばにある平和祈念モニュメントや、広島市の原爆死没者慰霊式・平和祈念式の映像を映し出した。

 式ではまず、この1年間に亡くなった市内の被爆者4人の名前が読み上げられた。小林嘉文市長は式辞で「核兵器禁止条約は発効されたが、日本は署名しておらず、政府へ署名するよう求めている。平和への祈りを今後も継いでいきたい」と述べた。

 参列者は折り鶴や白菊を手向けて犠牲者を追悼。原爆が投下された午前8時15分に全員で1分間の黙とうをささげた。岡山龍谷高の生徒会と放送部の代表5人が平和の誓いで「爆弾の閃光(せんこう)と爆風は一瞬で多くの命を奪い、戦争後も放射能が身体をむしばみ、苦しめている。人とのつながりを大切に伝え、家庭や地域、世界へ広げていこうと思う」と訴えた。

 市によると、市内の被爆者は29人で平均年齢は88歳に上る。同実行委員長で市原爆被爆者会事務局長の上小城昌昭さん(81)は「私以外の被爆者は高齢で出席がかなわなかった。伝承には若い人の力が必要。広島の原爆資料館の見学などを通して伝えていってほしい」と呼び掛けた。同高生徒会副会長の亀井柚花さん(16)は「小さい頃に原爆資料館で見た光景は今も目に焼き付いている。戦争は二度と起こしてはいけないと思うし、平和への願いも訴えていきたい」と話した。

(2021年8月7日朝刊掲載)

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