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被服支廠 国も保存検討 厚労相 全4棟 実現性高まる

 田村憲久厚生労働相は6日、4棟が残る広島市内最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」(南区)のうち国が所有する1棟について、保存を選択肢として検討する考えを示した。広島県所有の3棟は県が耐震化する方針のため、全棟保存が実現する可能性が高まった。

 田村厚労相は被服支廠を視察後、国の1棟について「非常に重要な建物だ。どのような形で保存、利活用していくかを含めて議論したい」と述べた。議論を進める際には、県、市と緊密に連携する考えを示した。

 3棟を所有する県は5月、「2棟解体、1棟の外観保存」とした安全対策の原案を事実上転換し、内部を見学できる形で3棟全てを耐震化する方針を表明した。国の1棟については、同じ工法で連携して耐震化するよう国に求めていた。

 県は、耐震化の概算工事費を1棟につき5億8千万円と見込む。田村厚労相は、県への支援について「かなり大きな規模になってくる。しっかり検討したい」と語った。(河野揚)

(2021年8月7日朝刊掲載)

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