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「被爆体験者」 救済訴え 原水禁など 長崎大会が開幕

 原水禁国民会議などは8日、原水爆禁止世界大会の舞台を長崎市に移し、長崎大会を開幕した。広島への原爆投下後に降った「黒い雨」訴訟の広島高裁控訴審で原告側が勝訴したのを受け、国が被爆者と認めていない長崎の「被爆体験者」の救済を求める方針を確認した。9日まで。

 新型コロナウイルス感染の広がりでオンライン配信した昨年と手法を変え、例年より規模を抑えて現地開催した。二つの会場に計約180人が集った開会行事で、被爆体験者に被爆者健康手帳の交付を求める訴訟の山内武原告団長(78)=長崎県諫早市=は、最高裁で敗訴が確定した後、再び長崎地裁に被爆者認定を求めた経緯を説明。広島高裁にならって長崎地裁が「良識ある判断を下してほしい」と早期救済を願った。

 原水禁国民会議の北村智之事務局長は、国が当時の長崎市の行政区域に沿って被爆者認定している線引きの不合理さを指摘。「被害に見合った援護を勝ち取ろう」と呼び掛けた。

 続く四つの分科会で、1月発効の核兵器禁止条約を生かす核兵器廃絶の手だてや被爆体験の継承方法を探った。9日は、条約への参加などを政府に求める平和行進などがある。

 一方、日本原水協などが開会中の世界大会は、条約に背を向ける政府にどう方針転換を迫るかをオンライン集会で議論した。東京都の被爆者団体「東友会」の家島昌志代表理事は「政府は核抑止力の幻想に惑わされたり米国の意向をうかがったりせず、核兵器廃絶の世界の世論をリードしてほしい」とし、草の根の署名活動を続けると強調。首長や議会に条約参加への賛同を呼び掛けている原水協の地方組織の活動報告もあった。(樋口浩二、余村泰樹)

(2021年8月9日朝刊掲載)

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