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福山空襲 伝承誓う 慰霊式 一斉に鐘打ちも

 福山空襲から76年を迎えた8日、福山市霞町の中央公園で「原爆・福山戦災死没者慰霊式」があり、参列者が反戦の誓いを新たにした。市内の寺や教会では正午、一斉に鐘を打ち、死没者に祈りをささげた。(川村正治)

 市などでつくる原水爆禁止運動福山推進連盟が主催した慰霊式には、約60人が参列。折り鶴や折りばらを慰霊碑前にささげ、手を合わせた。空襲で祖父を亡くした同市霞町の森近長一さん(86)は「戦争があったら絶対幸せにはなれないと、若い世代にも伝えたい」と話した。

 同連盟の呼び掛けに応え、市内の教会や寺が鐘や大鈴を鳴らした。75年の節目となった昨年、空襲の記憶を伝承することなどを目的に始まった取り組みで、今年は約120施設に協力を依頼した。

 同市桜馬場町の弘宗寺でも、水野宏泰住職(48)が鈴を10回にわたって鳴らした。水野住職は「年月がたち、空襲体験者も少なくなる中、空襲の日を風化させない取り組みはますます大切になる」と力を込めた。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で縮小開催となり、毎年開いていた「市民平和のつどい・市民平和大会」の集会は中止に。小中学生の金管バンドや吹奏楽の演奏、福山空襲の物語の朗読などをネット配信するオンライン開催とした。

 空襲は福山における最大の戦災で、市街地の8割を焼失。355人が犠牲となった。

(2021年8月9日朝刊掲載)

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