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広島本大賞 AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争

 広島県内の書店員らでつくる広島本大賞実行委員会は9日、第11回広島本大賞に写真集「AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争」(光文社)を選んだ。広島市東区出身の東京大2年庭田杏珠さん(19)と同大大学院の渡邉英徳教授(46)の共著。被爆前の広島の人々の暮らしぶりなどを色鮮やかに再現している。

 戦前から終戦直後にかけてのモノクロ写真355枚を人工知能(AI)技術でカラー化し、収録した。資料や証言を基に手作業でも着色し、爆心直下の旧中島地区の日常などを写し出す。庭田さんは「時が止まった過去の写真が、温かみを帯びて動き出すよう。今と変わらない穏やかな暮らしがあったことを感じてほしい」と話す。

 実行委は、2019年11月~21年3月刊行の広島ゆかりの本を対象に、候補11作品から選んだ。選考理由について、「最新技術で当時の様子を鮮明に浮かび上がらせた。意義のある研究成果でもあり、広島出身の学生が携わっていることは誇らしい」としている。授賞式は10月以降を予定している。(鈴中直美)

(2021年8月10日朝刊掲載)

カラー写真 よみがえる記憶 広島本大賞受賞 庭田さんに聞く

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