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セシウム堆肥 県外へ搬出開始 JA雲南 640トン、年度内終了

 福島第1原発事故の影響で島根県産の堆肥から放射性セシウムが検出された問題で、JA雲南(雲南市)は5日、保管していた堆肥約640トンを県外の最終処分施設へ搬出する作業を始めた。年度内に全て運び出す予定で、発覚から約2年を経てようやく処分のめどが立った形だ。

 この日は、42トンを保管する三刀屋肥育センター(同市)で、廃棄物運搬業者が、保管していた堆肥20袋、計6・5トンをコンテナに詰めて運び出した。

 同JAが保管する国の暫定基準値(1キロ当たり400ベクレル)を超える堆肥は644トン。今後、同センターと奥出雲町、飯南町の3施設から順次搬出する。同JAは「風評被害につながる恐れがある」と、搬出先を明らかにしていない。

 同JAでは2011年7月、セシウムに汚染された稲わらを牛に与えていたことが分かり、同8月に堆肥の汚染が明らかになった。国の基準を超える堆肥は焼却か埋め立て処分が必要で、受け入れ先が決まらないまま約2年が経過していた。

 同JA営農部の渡部吉高部長は「より深刻な東北や関東からの受け入れが先行していた。これで正常な状態に戻れる」と胸をなで下ろしていた。

 同JAでは汚染度の低い堆肥も約2300トン保管しており、今後の扱いが課題となっている。(明知隼二)

(2013年8月6日朝刊掲載)

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