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イランの毒ガス被害者ら ヒロシマと交流10年 15人が被爆者と体験共有

 広島の被爆者たちとイラン・イラク戦争(1980~88年)によるイランの毒ガス被害者の草の根交流がことし、10年目を迎えた。5日、イランから訪れた被害者たちとの交流会が広島市中区の中国新聞本社ビルであり、核兵器や化学兵器の廃絶に向けて今後も手を携えていくことを誓い合った。

 東区のNPO法人「モーストの会」(津谷静子理事長)と、現地非政府組織(NGO)「化学兵器被害者支援協会」(SCWVS)が連携し、年1回のペースで相互に行き来している。節目のことしは、イランから映画監督や作家も含む最多の15人が訪れ、被爆者3人の体験に耳を傾けた。

 救護活動で入市被爆した沖田照さん(85)=東区=は「被爆者のむごい姿を見続け、感覚がまひした。人を物としか扱えなくなるのが一番怖い」と強調。大久野島(竹原市)で毒ガスが作られた歴史も踏まえ「化学兵器廃絶も声を大にしたい」と語った。

 毒ガスの後遺症で肺と目の病気に苦しむアリーレザー・ヤズダンパナーさん(42)は「経験を語り継ぐ大切さを実感した」と、交流の継続を呼び掛けた。

 交流は、被爆者や市民が平和や和解を海外で訴える広島世界平和ミッション(2004年、広島国際文化財団主催)で、津谷理事長たちがイランを訪れたのをきっかけに始まった。一行は、6日の平和記念式典にも参列する。(馬場洋太)

(2013年8月6日朝刊掲載)

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