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アフガン混迷 案じる声 中国地方の関係者 「ゆかりの人は」「支援探りたい」

 イスラム主義組織タリバンに制圧されたアフガニスタンの混迷に、現地から広島などへ市民を招いたり、同国を訪れたりして支援を続ける関係者たちは心を痛めている。ゆかりの人たちの身の安全は。女性たちが抑圧されないか―。案じながら今後を模索している。(桑島美帆、金崎由美)

 国連訓練調査研究所(ユニタール)広島事務所(広島市中区)は、2003年以降、同国の官僚や技術者、女性を対象に現地や広島で研修を実施してきた。延べ約3200人が参加し、4割が女性。「彼らがどんな状況にいるのか、本当に心配」と隈元美穂子・持続可能な繁栄局長兼広島事務所長は話す。

 旧ソ連軍侵攻と内戦、タリバンの圧政に続く米中枢同時テロ後の米空爆などを経て、荒廃した社会の再建を担う人材だ。15、16年度にはサッカー女子代表チームを招いた。本年度はコロナ禍のためオンライン研修を準備したが、中断。「復興を経験した被爆地発のプログラムは、参加者の人生を変える力を持つ。再開を探っていく」と隈元所長。

 日本で得た知識や技術を母国で発揮してもらう人材育成は、国際協力機構中国センター(JICA中国、東広島市)も実施している。アフガニスタンからの長期研修員を受け入れるJICAの「未来への架(か)け橋・中核人材育成プロジェクト」で、広島大などと連携している。

 義肢装具メーカーの中村ブレイス(大田市)は、同市大森町とアフガニスタンを舞台にした03年製作の映画に協力し、地雷で足を失った主役の少女を支援。4年前、再び大田に招いた。中村宣郎社長(44)は、自らも首都カブールを訪れた。「今後どうなるのか。また義足のメンテナンスをしてあげたい」

 広島YMCA(中区)は03~17年、日本YMCA同盟と連携して隣国パキスタンのアフガン難民キャンプで小学校建設などの支援をした。13年に現地を訪れた中奥岳生さん(59)は「再び多くの人が、難民として隣国や第三国に逃れるのではないか」と危惧する。

 パキスタンのアフガン難民キャンプに立つ病院の運営を支援するNPO法人ANT―Hiroshima(中区)の渡部朋子理事長(67)は「あなたたちを見捨てない、とまず被爆地から伝えたい」。アフガン国内の学校にヒロシマを伝える絵本を贈ってきた。「募金活動をはじめ、現地に確実に届く支援を見極め、実行していく」と強調。「同時に、日本の難民支援の在り方を私たちが真剣に問い直すべき時だ」と付け加えた。

(2021年8月25日朝刊掲載)

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